「ツツジ」春の庭園を彩る赤と緑の対比

4月中旬〜5月上旬 桜が散りはじめるころから咲き出し、兼六園の春の「第二幕」を担う存在。

ツツジは江戸時代から大名庭園に欠かせない花木のひとつ。常緑の葉が年間を通じて庭に緑を添え、春には鮮やかな花で季節の彩りを加える。兼六園では、松・苔・刈り込みの緑を基調とした景観の中に、ツツジを「差し色」として点在させる手法が取られており、どこを歩いても花に出会える仕掛けになっている。

歩くたびに、赤に出会う

鮮やかな赤の「ツツジ」

兼六園のツツジは、一か所にまとまって咲くのではなく、園内のあちこちに点在しています。松のそば、池のほとり、老木の根元——歩いていくと、「あ、ここにも」「あそこにも」と、次々に出会えます。

ひとつひとつの株は、職人が毎年手を入れて丸く整えられています。花の季節には、その丸い形のまま全体が赤く染まる。遠くからでも、緑の中の赤はよく目立ちます。

庭師が仕掛けた「歩く喜び」

江戸時代の大名庭園には、「回遊式庭園」という設計思想があります。歩きながら次々と異なる景色に出会えるよう、植栽・石・水・建物を計算して配置する考え方です。

兼六園でツツジが一か所にまとめて植えられず、あちこちに点在しているのも、この思想の表れです。歩くたびに「次の赤」が現れる。「また見つけた」という小さな喜びが、散策を楽しいものにする。加賀藩の庭師たちは、そういう仕掛けを庭の中に埋め込んでいたのです。

花が終わっても、緑の株として庭に残る

もうひとつ、ツツジが庭園に重宝されてきた理由があります。花の季節が終わっても、刈り込まれた丸い株が緑の構成要素として庭に残り続けることです。

春は赤く、夏は緑の丸い株として、秋も冬もその形を保つ。一年中、庭の景観に貢献できる木として、大名庭園に欠かせない存在になってきました。

【豆知識】

  • 刈り込まれた丸い株の形は、職人が毎年手を入れて維持しているもの。花が終わった後も、緑の丸い株として庭の構成要素になり続ける
  • 足元に桜の花びらが散っている時期と重なることが多く、「ツツジの赤+桜の散り花びら」という春ならではの景色が生まれる
  • 同じ時期にシャクナゲも見ごろを迎えるため、4月中旬〜5月初旬は園内がもっとも花の種類が多い時期

桜の混雑が一段落したころ、ツツジの見ごろが始まります。人出が落ち着いて、園内がゆったりしてくる時期です。池のほとりにベンチを見つけて、赤いツツジを眺めながらひと休み、そんな時間の使い方が、この時期の兼六園には似合います。

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