散ってからが、本番でした。兼六園の苔に積もる桜の花びら

花絨毯

桜が散りはじめると、もう終わりだと思っていました。 でも兼六園では、花びらが落ちてからはじまる景色があります。

曲水のほとりを歩いていると、足元の苔が一面ピンク色に染まっていました。桜の花びらが、緑の苔の上にそっと積もっている。それだけのことなのに、思わず立ち止まってしまいました。

苔があるから、この色が生まれる

土や砂利の上に落ちた花びらは、乾くとくすんで見えることがあります。でも苔の上は違います。

柔らかい緑の上にピンクが重なって、お互いの色を引き立てる。このコントラストは、苔の美しい兼六園ならではの景色です。

水面に目を向けると、花びらが連なって流れている

それが「花筏(はないかだ)」。地面に積もるのが「花の絨毯」。同じ散り桜が、場所によって全く違う顔を見せてくれます。

見ごろは「散りはじめてから」

桜の見ごろというと、満開の日を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、花の絨毯が一番きれいなのは、散りはじめてから数日のあいだです。

日本には昔から、散る花を惜しみながら美しいと感じる心があります。兼六園の春は、まさにその気持ちを育ててくれる場所です。

満開のにぎわいが落ち着いたころ、池のほとりで、足元のピンクをゆっくり眺める。そんな時間が、兼六園には用意されています。

【見ごろ・時期】 

4月上旬〜中旬(桜の散りはじめ〜散り終わり) 満開から数日後、風が吹いた翌朝などに特に美しく見られる。雨上がりの翌日も花びらが苔に貼りついて鮮やか。

【豆知識】

  • 桜の見ごろは「咲いているとき」だけではない。散りはじめてからも1週間ほど、花びらが積もる景色が続く
  • 兼六園の苔は約50種類以上が自生しているとも言われ、踏まないよう園路が整備されている

「花筏」は、水面に花びらが連なって流れる様子を筏(いかだ)に見立てた日本古来の言葉。平安時代から和歌や俳句に登場する季語、そして、日本人が長く愛でてきた春の情景のひとつ。「花の絨毯」は近代的な表現だが、どちらも「散っても美しい」という日本独自の美意識を表しています。

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